家族(民事)信託

ご存じですか?家族信託(民事信託)・成年後見・遺言

高齢化社会を反映して遺言や家族信託、任意後見契約の相談が増えています。ご自分の財産や将来の生活スタイルなどを「誰に」、「いつ」、「どのような方法で」任せたいのか、元気なうちに決めて確実に実行して欲しい、家族が自分の介護や遺産で揉め事を起こして欲しくないなどの気持ちがあると思います。
任意後見契約や家族信託は、元気なうちにご自身の財産や将来の生活スタイルなどを信頼できる人に託すツールとして大変有益です。遺言は、解決困難な遺産紛争を予防し、自分の意思を反映させた相続を実現するために有益な方法です。

どのような方法を選択することが最適かはご相談者の状況により異なりますので、いろいろなお話をお聞きする中で、一番良い方法を一緒に考えていくことが必要になります。
私たちは、丁寧に時間をかけてご相談者の置かれている状況を把握し、ライフスタイルのどの場面でどのような方法が一番ご相談者に相応しいのかということを考慮しつつ、ご相談者の希望を踏まえながら最適な方針を決定させていただきます。

家族信託(民事信託)

家族信託(民事信託)は、財産管理の手法の一つですが、契約によって、資産を持っている人(委託者)が信頼できる人(受託者)を選び、受託者に対し、資産を移転し、一定の目的にしたがって、特定の人(受益者)のために資産を管理、処分できる権限を与えるものです。 受益者は、委託者本人でもその家族でもかまいません。
最近は、アパート管理などの煩雑さを避けたい、妻との生活をしっかりと守りたいなどの希望を叶えるために、家族間で家族(民事)信託契約を締結して、資産を管理するケースも増えてきています。

また、家族信託(民事信託)は、会社のオーナーが株主議決権の行使の機会を確保する方法を残して後継者に自社株式を譲渡することによって、スムーズな事業承継に役立てることができます。

CASE

  1. 賃貸マンションを所有し、その家賃収入で生活をしてきたが、その維持・管理も大変になってきた。いっそのこと息子に賃貸マンションを譲って維持・管理をまかせたいが、家賃収入がなくなれば自分の生活が大変だ。
  2. そろそろ後継者である長男に株式を譲って会社経営を任せたいが、そうかといって、すべて任せてしまうのもまだ少し不安があるし、会社からの配当金もいままでどおり欲しい。

成年後見制度

認知症、知的障害、精神障害などの理由で判断能力の不十分な方々は,不動産や預貯金などの財産を管理したり、身のまわりの世話のために介護などのサービスや施設への入所に関する契約を結んだり、遺産分割の協議をしたりする必要があっても、自分でこれらの ことをするのが難しい場合があります。
また、自分に不利益な契約であってもよく判断ができずに契約を結んでしまい、悪徳商法の被害にあう恐れもあります。
このような判断能力の不十分な方々を保護し、支援するのが成年後見制度です。
成年後見制度は、大きく分けると、法定後見制度と任意後見制度の二つがあります。

法定後見制度

法定後見制度においては、一定の手続が必要です。ご家族やご本人が家庭裁判所に申立をし、成年後見人、保佐人や補助人が本人の利益を考えながら、本人を代理して契約などの法律行為をしたり、本人が自分で法律行為をするときに同意を与えたり、本人が同意を得ないでした不利益な法律行為を後から取り消したりすることによって、本人を保護・支援します。
もっとも、成年後見人、保佐人や補助人は家庭裁判所が選任をしますので、本人やご家族が希望する方が成年後見人、保佐人や補助人に選ばれるとは限りませんし、色々な制約ができてこれまで通りの生活ができないと不満を感じる方もいらっしゃいます。

また、法定後見制度は、以下のような判断で「後見」「保佐」「補助」の3つの類型に区分されます。

後見とは?

ほとんど判断出来ない方が対象となります。
認知症や知的障害、精神障害などによって判断能力を欠く常況にある者を保護します。
自分で判断して法律行為をすることが出来ないという場合が多いです。
家庭裁判所は本人のために成年後見人を選任し、成年後見人は本人の財産に関するすべての法律行為を本人に代わって行うことができます。また、成年後見人または本人は、本人が自ら行った法律行為に関しては日常行為に関するものを除いて取り消すことができます。

保佐とは?

判断能力が著しく不十分な方が対象になります。
認知症や知的障害、精神障害などによって判断能力が特に不十分な者を保護します。
日常生活の簡単なことであれば自分で判断できるが、法律で定められた一定の重要な事項などについては援助してもらわないとできないという場合です。
家庭裁判所は本人のために保佐人を選任し、さらに、保佐人に対して当事者が申し立てた特定の法律行為について代理権を与えることができます。
また、保佐人または本人は本人が自ら行った重要な法律行為に関しては取り消すことができます。

補助とは?

判断能力が不十分な方が対象になります。
認知症や知的障害、精神障害などによって判断能力が不十分な者を保護します。
大体のことは自分で判断できるが、難しい事項については援助をしてもらわないとできないという場合です。
家庭裁判所は本人のために補助人を選任し、補助人には当事者が申し立てた特定の法律行為について代理権または同意権(取消権)を与えることができます。

任意後見制度

任意後見制度は、本人が元気なうちに将来自分の判断能力が不十分な状態になった場合に備えて、あらかじめ自らが選んだ人に代理人になってもらって、自分の生活、療養監護や財産管理に関する事務について頼みたいときの制度です。その方法は、予め自らが選んだ人と公証役場で公正証書の形で成年後見契約を締結します。
もっとも、実際に任意後見人が権限を持って活動するためには、任意後見監督人が家庭裁判所に選任されなくてはならず、任意後見人になった方は、任意後見監督人に後見事務報告書を定期的に提出し、管理状況を報告しなければなりません。
このような後見事務報告書を作成し、継続的に提出を続けることが難しい場合には、専門家のサポートを受けながら、後見事務報告書を作成することになります。

遺言制度

遺言は、誰に何を取得させるとか、どのような割合で相続させるか等を生存中に決めておくことです。遺言書を作成しておく最大のメリットは、実際の遺産分けの際に、相続人間で揉めないようにすると言う点にあります。
遺言をすることによって法的な効力が認められる事項は民法で定められていますが(相続、財産処分、身分関係等)、それ以外のことを遺言に記載する場合もあります。
たとえば、どのような葬儀を行って欲しいとか、お墓についての希望などを記載するケースや残される人たちへの感謝の気持ちを記載するケースもあります。

遺言書の作り方には2種類あります。

自筆証書遺言全文を自分で書く

メリット
  • 自分一人で作成可能
  • 費用がかからない
  • いつでも書き直すことができる
  • 遺言書の存在、内容を誰にも知られずに済む
デメリット
  • 死後に紛失、発見されないという可能性がある
  • 他者に破棄、改ざんの可能性がある
  • 開封に家庭裁判所の検認が必要になる
  • 形式的に無効になる場合もあ(代筆やワープロは不可)

公正証書遺言公証役場で公証人に作ってもらう

メリット
  • 公証人によって作成され、紛失や改ざんの恐れがない
  • 形式的に無効となる心配がない
  • 家庭裁判所による検認が不要である
デメリット
  • 証人や公証人に依頼する手間と作成費用がかかる
  • 証人から存在、内容が漏洩する可能性がある
    (証人を弁護士等にすれば秘密にできる)

一般的な遺言の方法としては、自筆証書遺言と公正証書遺言があります。公証役場で作成する公正証書遺言は、証人が2名必要であり、少し手間と費用がかかりますが、紛失や改ざんなどの心配はありません。
なお、平成30年の民法(相続法)改正により、自筆証書遺言の記載方法が緩和されています(平成31年1月13日から施行されました)。また、自筆証書遺言の保管制度(法務局で保管してもらえる制度)も新設されましたので(この法務局における遺言書の保管等に関する法律の施行日は2020年7月10日(金)となりました。)、従前より自筆証書遺言は作成しやすくなります。

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